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2025/7/6

最軽量の歯ブラシを目指して。身軽さを求める全ての旅人のためのフェザーブラシ開発秘話

今回の対談では、豊明株式会社 「kodamaya」の井上さんをお迎えしました。「登山に持っていけるような、とにかく軽い歯ブラシを作りたい」そんな井上さんの想いから、ファインとの共同開発が始まりました。開発のきっかけやフェザーブラシへのこだわり、お互いの印象まで、井上さんとともにファイン代表の清水と開発担当の森内が、じっくり語り合いました。

豊明株式会社 井上さん

2024年に登山、アウトドア向けのギアブランド「kodamaya」を立ち上げ、ウエストポーチや登山小物など軽量でありながら最低限の機能を追求した道具の開発・販売を行う。数日間にわたるバックパック登山を趣味とし、自らの経験をもとにした実用的なプロダクトづくりを追求している。

登山経験から生まれた、"軽さ"へのこだわり

清水社長:本日はお時間をいただきありがとうございます!よろしくお願いいたします!無事にフェザーブラシが完成して安心しました。

 

井上さん:ありがとうございます。ファインさんにご協力をいただいて納得のいく歯ブラシが出来ました。

 

清水社長:私たちも新しい「軽量化」という挑戦が出来てとても楽しかったです。井上さんとのお付き合いは、井上さんからお電話を頂いたことから始まりましたよね。軽い歯ブラシを作りたいという思いはずっとお持ちだったのですか?

 

井上さん:そうですね。私は趣味で登山をしていて、バックパックに衣食住すべてを詰め込んで数日間旅をするのですが、長期間山を歩く中で、少しでも背負う荷物を軽くしたいという思いがずっとありました。最近は軽量化された製品も増えてきて、それらを集めて一つずつ軽量化を進めているうちに、「山に持っていく歯ブラシももっと軽くできるのでは?」と考えるようになりました。使いやすくて軽い歯ブラシを形に出来たらいいな、という思いはブランドを始める前からずっとありました。

 

実際に作ろうと思って、いろいろな歯ブラシメーカーさんに相談をしました。その中でファインさんに出会い、私が作りたいもの、そして理想の条件を満たせるのはファインさんだけだと感じました。

 

清水社長:ありがとうございます!今回は共同開発の担当者として森内が担当させて頂きました。森内は営業担当ではないのですが、井上さんからお話しをお伺いして、「登山やアウトドアの時に使える歯ブラシ」ということでしたので、アウトドア好きの森内に任せることにしました。

 

森内:軽量化を重視した歯ブラシを必要としている方がいると聞いて、まずそこにすごく驚きました。普段は、磨き心地や持ちやすさ、奥までしっかり磨けることを重視して歯ブラシを作っています。

でも、この軽量化という点に特化した歯ブラシを求めている方がいるというのは、私にとっては新鮮で、そのニーズに応える歯ブラシ作りへの挑戦にワクワクしました!お話しを頂けてとても良い経験ができました。

 

想いを形にする、二人三脚の歯ブラシ開発

井上さん:仰る通りかなりニッチなニーズではありますよね。別のメーカーさんとはお話をしてもなかなかスムーズに進まないことが多い中で、ファインさんは私が作りたいものを、私の希望する条件で作ってくれるという安心感を与えてくださいました。

 

また私自身、歯ブラシに関する知識がほとんどなく、製造方法や価格の仕組み、どういう考え方で作られているのかも分からない状態だったのですが、そういった点もファインさんは、親切に丁寧に教えてくださり、しっかり対応していただけました。

 

清水社長:歯ブラシを作りたいという方は本当にさまざまな目的をお持ちなんです。「今この商品が売れてるから、似たようなものを作りたい」「少し仕様を変えて出したい」「あの会社が出してるから、うちは半額で勝負したい」など、明確に商売としての目的が決まっている場合も多いです。

 

一方で、今回の井上さんのように「こういう想いで、こういう歯ブラシを作りたい」と情熱をもって話してくださる方とのモノづくりは、私たちにとってはライスワーク(生活のための仕事)というより、ライフワークに近い感覚になります。

 

井上さんが大切な資金を投じてくださる以上、まずはご本人が本当に愛着を持てる製品に仕上げたいと思っていました。そして「一度作って終わり」ではなく、長くお付き合いしながら、リピートして頂けるような関係になれたら嬉しいですね。

 

だからこそ、「ここはこういう理由でこだわった」と自信を持って言える歯ブラシにしたいと思い、打ち合わせでも細かい部分まで詰めてお話ししました。「ここはまだ考えきれていないかもしれませんが、一度検討してみてください」といった具合に、色やシリーズ感の出し方などもしっかり考えて頂きました。

 

ただ、井上さんは本当に決断が早くて助かりました。毎週ミーティングを重ね、毎回きちんと期限までに答えを出してくださって、こちらもとてもやりやすかったです。

 

普通、シンプルな歯ブラシであっても決めなければいけないことは意外と多くて、たとえばパッケージの仕様や細かいデザインなど、迷いが出やすい部分もあります。でも、井上さんはパートナーの方とも相談されながら、スパッと決めてくださる。そのスピード感とぶれない姿勢が、私たちとしてもすごくありがたかったですね。

 

「小ロットは難しい」その理由とは?

井上さん:ありがとうございます!とても勉強になりました。やはりロットが小さい歯ブラシの製造というのは、メーカーさんとしてなかなか難しいのでしょうか?

 

清水社長:そうですね、歯ブラシ工場は基本的に同じような工程で作っていますが、持っている機械が大量生産向けかどうかというところがポイントです。大量生産だと機械を回せばどんどん製品が出てきますが、数万本程度生産しないと効率が悪くなります。

 

例えば、月に10万本売れるような規模でないと、機械の設定や停止を何度もすることになり、すごく手間がかかってしまいます。数千本程度のロットでは効率が落ちてしまい、単価にも乗せにくくなります。

 

また、ものづくりの面で難しいのは、「この部分はどうしますか?」というご相談をするときに、歯ブラシを作ったことがない方やモノづくりの経験がない方と認識を合わせるのが大変なことです。それが原因でトラブルになってしまうこともあります。

 

そういった無用なトラブルを防ぐために、ある程度ハードルを上げて本気度を確認することも必要です。今回のお話しでは、物量的には大量生産になりにくいことと、モノづくりの認識合わせの難しさがあって他のメーカーさんとはなかなかお話しが進まなかったのかもしれません。

 

井上さん:そうなのですね、改めてお話しを受けていただいてありがとうございます。

 

 “軽さ”だけじゃない。磨きやすさへの追及

 

森内:今回は完成系にみんなで近づけていく作業が多かったように思います。形は決まっているけれど、どんな色にしてどんな硬さにしようとか、そういった点にこだわりました。井上さんの中で一番こだわったところはどこですか?

 

井上さん:やはり一番は軽さですね。

 

森内:そうですよね、フェザーブラシの本体は3.4gですので、普通の歯ブラシの重さと比較すると3分の1から5分の1程度の重さまで軽くすることが出来ました。登山をする上では1gでも荷物を軽くしたいのでしょうか?

 

井上さん:そうですね、たかが1gなのですが、色々な道具をバックパックに詰めていく中でその「たかが1g」が増えていくと最終的に結構変わってきます。だから1個1個の荷物を1gでも軽量化していきたいという思いは常にあります。

 

実際今までは、市販の普通の歯ブラシを10cmほどにカットして持って行っていました。それでも重さは5gくらいありましたし、何より持ち手をカットしてしまうと磨きにくいのです。ヘッド部分の毛先をカットするわけにはいかないので、そのまま使用していたのですが奥歯を磨く際に歯ブラシが縦に倒れてしまったりしてとても使いにくかったです。

 

そのような実体験もあり、フェザーブラシは長さは12cmほどにして、毛も7mmと一般の歯ブラシよりも短くすることにより奥歯を磨くような力が入るときでも歯ブラシをしっかり握っていられるような造りにして頂きました。

 

清水社長:持ちやすさについてなのですが、歯ブラシキャップを持ち手の下にはめると磨きやすいかもしれないです!

 

井上さん:確かに持ちやすさが結構変わりますね!ホームページにも記載しておきます!

 

しまう場所まで想定された登山仕様のディテール設計

森内:実際の経験があるからこそ、細かいところまでこだわった歯ブラシになりましたね!沢山の方に使って頂いて軽さや持ちやすさ、磨きやすさを感じていただきたいですね。この歯ブラシの色味にも意味があるのですよね?

 

井上さん:そうですね!テントの中など暗いところだったり、ポーチの中でも歯ブラシが簡単に見つけやすいような色にしています。

 

森内:取り出す時のことまで考えられたのですね。

 

井上さん:そうですね。あとはバックパックにしまっている時のことも考えました。というのも、今バックパックも軽量化されていてポケットなどがなく1つの袋タイプのものが多いのです。そこに歯ブラシをポンと入れるとどうしても他のものとぶつかったり圧力がかかってしまうかと思いますが、そういった時でも簡単には折れないような造りが良くて、そういう面もこだわりました。

 

森内:確かに、ポリプロピレンは簡単には折れませんので安心して登山に持っていっていただきたいですね!オンラインストア以外ではどういったところで販売されてるのですか?

 

井上さん:小規模な登山用品店さんが全国にありますので、そういったところで取り扱いをしていただいています。

 

森内:評判はいかがでしょうか?

 

井上さん:今まで、ここまで軽量化にこだわった日本製の歯ブラシはほとんど出回っていなかったので、たくさんの方にご使用していただいています。

 

二つに折れるタイプなどは売られていたのですが、構造が複雑になってしまっている分、重量が増えてしまっていたり、単価が1,000円以上だったりします。近年登山をする上で軽量グッズも流行っているのでそういった面でもフェザーブラシはご好評いただいています。

 

 「kodamaya」ブランドに込められた想い

森内:「kodamaya」ロゴすごくかわいいですよね!きつねが1匹かと思ったら2匹いますよね!このロゴにはどんな思いが込められているのでしょうか?

 

井上さん:私は都会でも田舎でもないような地域に住んでいたのですが、そこでたまにきつねを見ることがあったのです。といっても2回ほどなのですが、その時とても嬉しい気持ちになったのですね。

 

皆さんにも私がきつねを見かけた時のように嬉しい気持ちになる、テンションが上がる、そういった製品を作ってお届けしたいという思いでこのきつねのロゴにしました。

 

森内:そうだったのですね、「kodamaya」というブランド名にはどんな意味があるのでしょうか?

 

井上さん:「木霊」というのは昔から言い伝えがある地域も多くあるのですが、木々に宿る精霊を指しています。山に登ったときに、高いところで叫ぶと、返ってくるやまびこも、木々に宿ってる精霊のせい、なんて事が言われたりもしています。

 

また違う側面にはなりますが、登山だけの特有のルールで、別の登山者とすれ違ったときには、全く知らない人へも絶対に挨拶をします。日常の中でそんな場面はないですよね。

 

そういったちょっとした非日常的な体験だったり不思議な、でも心が温まるようなそんなイメージで名付けました。

 

清水社長:私はバイク乗りなので時々山に走りに行ったりするのですが、山に入るときは山に向かって挨拶をしています。山道を走るのはとても楽しく気持ちが良いのですが、同時に危険とも隣り合わせなので「失礼します、走らせてもらいます」という気持ちで心の中で挨拶をしています。

 

無事に戻った時も同じように「ありがとうございました」とそういう思いで帰ります。そういうふうに挨拶をしたりするというのも、通ずるところがあるといいなと思いました。

 

そろそろお時間になってしまうのですが、最後にファインへのご期待や今後に向けてのご要望などがあれば、ぜひお聞かせください。

 

井上さん:今回のフェザーブラシを実際に使ってみて、「もっと軽くできるのでは?」「毛先の種類をもう少し増やせないかな?」といったアイデアが出てきました。今後またご相談させてください。

 

清水社長:フェザーブラシをさらに進化させていくのも面白いですし、私たちとしてもぜひご一緒させていただきたいです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

 

「kodamaya」公式HP https://kodamaya.design/

「kodamaya」ネットSHOP   https://kodamaya.buyshop.jp/

「kodamaya」フェザーブラシページ https://kodamaya.design/feather-brush